にんげんはじめました_吉岡平

私の好きな吉岡平ソノラマ文庫作品。表紙の絵にはイヤな雰囲気を感じたけど恥ずかしがらずに購入。タイトルを見た第一印象は「冷やし中華はじめました」か?
まさか最後まで読んでみて当たりだとは思わなかったけどなw
ネタバレを激しく含むけどこんなローカルな日記で気にしちゃいけない。
 

にんげんはじめました

にんげんはじめました (ソノラマ文庫)
あらすじは、結界により孤立した町で天使だか悪魔だか人間ならざるものが争いを繰り広げ、主人公たちが巻き込まれるって話。主人公は、少女と青年と老人というファンタジーだかミステリーだかホラーだかの王道まっしぐらの組み合わせ。少女は悪魔(だか天使だか)の一人で同族を13人倒すと人間になれるらしい。このへんがタイトルの由来の一つか。青年は典型的な巻きこまれタイプ、でも正義漢でも熱血漢でもないみたい。老人は訳知り顔な事件の説明役、にして実はこの怪奇現象に一枚かんでるんじゃないか?あと謎の市長、たぶん作者の写し身ってことで間違い無いな。13人の同族を弱い順に倒していくわけだが、一冊に収まりきらなかったのか?まさかの、つづく。最後まで読めば判るけどタイトルの「にんげんはじめました」は、正に「冷やし中華はじめました」だった。結界で囲まれた町は悪魔にとって餌の養殖場か。主人公の少女も敵キャラも、人前では食事はしないって理由は、食料=人間、だから。毎回毎回マニア臭のキツイ吉岡作品だが、今回は比較的万人向けに思う(あくまで比較的か)。ジャンルはSFなんだかミステリーなんだかホラーなんだか判別不能。私としてはラストに登場した戦車ってか装甲車ってか偵察警戒車により、「ああ、やっぱり吉岡作品だわ」と安心しましたとさ。